砂糖依存症…映画「甘くない砂糖の話」より
●60日間砂糖を食べ続けたらどうなる?
以前観た映画で、あまりに衝撃だったのか、スイーツを目の前にすると思い出す「甘くない砂糖の話」。
2015年にオーストラリア映画ドキュメンタリー部門で、史上最高の動員記録を樹立し、社会現象になった原題:That Sugar Filmです。
低脂肪ヨーグルト、穀物バー、フルーツジュースといった一般的には健康的とされているが、実は大量の砂糖を含んでいる食品群。それらを60日間食べ続けると、人間の心と体はどうなるのかーー。この実験を通して、砂糖が心身にもたらす影響や、身近な食品に含まれている砂糖の危険性などの問題が明らかになっていく内容でした。
実験時の60日間のポイントは、5つです。
- 1日にティスプーン40杯の砂糖(160g)を消費する内容としてーー
- ソフトドリンク・アイスクリーム・チョコレートなどのお菓子類は避けた。
- 低脂肪ヨーグルトやシリアル等の「実は砂糖の多い食品」から摂った。
- 必ず「低脂肪」の食品を選んだ。
- ジョギングや筋トレなどの運動習慣は継続した。
【実験中の食生活】
●想定以上の変化が・・・
医師や栄養士などの管理の元、摂取カロリーは変えず、実験前から続けていた運動習慣も継続。変わったのは食生活だけでしたが、
実験開始12日目
体重3.2kg増加
実験開始35日目
精神的ダメージ・下腹が出る・顔の吹き出物
やる気が出ない・運動が負担・甘いモノへの執着
実験最終日60日目
①体重8.5kg増加・腹囲10cm増加
②肝臓の数値(ALT)が40以上上昇して、脂肪肝になる。
③中性脂肪(TG)の値が150%に上昇した。
●砂糖中毒・砂糖依存症のメカニズム
映画の中にあるティスプーン40杯は、砂糖160gあたりたった640kcalです。標準成人男性の摂取カロリーの1/4程度です。
実験前と同じカロリー摂取でも、そのカロリー範囲内にこの分量の砂糖が加わるだけで、8.5kgもの体重増加や肝臓病が引き起こされたのでしょうか?
それにしても、どうして砂糖を食べると、幸せな気分になるのでしょう?
▶︎砂糖=二糖類《ブドウ糖+果糖》は血糖値急上昇
糖質には4つの形があります。
- 単糖類
- 二糖類(単糖が2つ結合)
- オリゴ糖類(単糖が3-10程度結合)
- 多糖類(単糖が10以上結合)
二糖類である砂糖は、消化吸収が速やかで15分後に急激に血糖値が上がります。
同じ糖質でも多糖類のお米は、まず単糖にまで分解(消化)する必要があり、30分〜60分かけて体に吸収していきます。
この砂糖による急速かつ急激な血糖値の上昇が、急激な体重の増加等の恐ろしい体の変化を起こします。
血糖値は、ブドウ糖や果糖などの単糖の血液中の量を表しますが、単糖類は生命維持に重要なエネルギー源となります。この重要なエネルギー源を無駄にしないために、使わずに余ったブドウ糖や果糖はすぐに中性脂肪に作り変えられ貯蔵されるように設計されています。
特に果糖は脂肪に作り替えられやすい性質を持っています。
- この脂肪が脂肪細胞に溜まってくると、太ります。
- この脂肪が肝臓に溜まると、脂肪肝になります。
- 肌の皮下組織に溜まると、吹き出物の原因になります。
- 病気としては、糖尿病・高血圧・心筋梗塞などの原因になります。
▶︎多量の砂糖摂取で、中毒・依存症を引き起こす
- 血糖値が急激に上がると、気分がハイになります。
- その後、急激に上がりすぎた血糖値を下げるためインスリンが出ます。
- 血糖値が急激に下がると、次にアドレナリンが分泌されます。
- 血糖値が急激に下がりアドレナリンが出ると、イライラして集中力が低下します。
- このアドレナリンの分泌による症状は、再び砂糖を摂るように体が命令を出します。
- その命令のままに砂糖を摂るとまた急激に血糖値があがり、幸せな気分になりハイになるのです。ニコチン中毒や麻薬中毒と同じです。
●ファスティングは中毒・依存症をリセットチャンス
ファスティングの効能のひとつに、「味覚が正常になり、食事がおいしく感じる」とありますが、これは普段の食生活をリセットすることで、中毒症状から開放されることからくると思います。
ファスティング中は、おやつは控えます。
食べないということは、その商品に仕組まれた「売れるために練られた甘味料の最適値《至福点》の呪縛」から解かれるのかもしれません。映画中にあったこの事実には、本当に嫌悪感を感じました。知らず知らずのうちに、私たちの味覚は経済システムの配下にコントロールされているのかもしれませんね。
ご興味がおありでしたら、映画はエンタメ要素満載で、分かりやすくポップに描かれていますので、ご覧になってみてください。